有限会社 岐阜建築職人会:岐阜県(岐阜市・本巣市・瑞穂市・北方町・羽島・柳津・
揖斐・岐南町・笠松町・各務原市・山県市・関市・美濃市) ローコスト健康住宅









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 ミホコのブログ
 陶板浴「いおり」ブログ

 

はじめに

日本の住宅の変化
昔の日本の家
高度成長期以降の住宅

カビ・ダニのもたらすもの
カビとダニの関係
アレルギーの原因
アレルギー以外の、カビが原因となる症状

カビ・ダニ以外の、生物・植物による健康被害

化学物質について
「合板」のお話
「壁紙」のお話
「畳」のお話
「芳香剤」のお話
「シロアリ防除」のお話

化学物質の利用と環境汚染
化学物質の安全性

「シックハウス対策のための改正建築基準法」
化学物質による健康被害
厚生労働省の指針値
改正建築基準法の内容
規制で健康被害はなくなるか
「総身体負荷量」
化学物質過敏症
病気にならない家を建てるには
誰に建ててもらうか
目標とする家
造り手の見極め方、質問の仕方
ローコスト住宅FCや大手メーカーの対応は

もしものときの対処法
ダニ
カビ
ペット
化学物質

これから建てるならこんな家

主な参考文献

著者プロフィール
事務所
事務所二階の誠裕館道場

はじめに

 先日ある工務店のチラシを何気なく眺めていて、びっくりしました。
 「オール電化と24時間換気・排気型セントラル換気システムで空気がきれい。」

 ここまでは良いです。
 確かにオール電化なら、ガスの燃焼による空気の汚染は少ないでしょうし、ガスの燃焼時に発生する水蒸気も出ないので、結露の心配も少なくなるでしょう。
 結露が少なければ、カビの繁殖・ダニの発生も少なくなるでしょう。
 この換気システムは平成15年の建築基準法で定められた、24時間換気システムのことですから、それなりの効果はあると思います。

 この換気設備は「最低基準」にあたるものにすぎないのですが、「シックハウス対策の強い味方」だという宣伝文句が付いていました。

 そのチラシではさらに続けて、
 「自然な換気が減少しつつある住宅環境は空気の汚染・カビ・悪臭など、人にも家にも不健康です。計画的な換気をおこない、窓を開けなくても自然な空気の流れを実現します。」
という文章がありました。

 何も知らないうちの女性スタッフや妻は、「これをつけるだけできれいな安全な空気になるなんてすごいですね」などといっていましたが、これが一般の人達の反応なんだと考えると、正直言って、困ったことだなあと思いました。

 最近の住宅では、換気しないと室内空気が汚染されるのはまぎれもない事実です。
 つまりこの部分をいいかえると、よその住宅会社も含めてですが、この会社のつくっている住宅は、自然な換気がなくなっているので、空気が汚染されたり、カビが発生したり、悪臭が充満してしまい不健康になってしまうものだ、ということです。
 ですから、計画的に換気をして、窓を開けることがなくても、家の中に空気の流れをつくるのです。
 空気の汚染の源である、例えばホルムアルデヒドは、合板(ベニヤ)・フローリング・接着剤・ビニールクロスの糊・下地調整用のパテ・その他建材・システムキッチン・家具などありとあらゆるものから出ています。
 また、結露があったり、通風の悪いところがあったり、じめじめしたところがあると、カビが発生します。カビが発生すると、それをエサにして、ダニも発生してしまいます。カビの胞子や、ダニの死骸、それらが細かくなったものが、ハウスダストになり、静電気の作用で空気中に舞い上がり浮遊します。
 悪臭は、生ゴミの腐敗臭、通気の悪いところのかびの臭い、トイレの臭い、揮発性の有機化合物(塗料用シンナーや揮発油など)などが原因となります。

 なぜ最近の家がこんな危険な家になってしまったのかは、この後詳しく説明しますが、現実に、今普通に家を建てるとこのような家になるのです。

 話を戻します。
 このチラシの換気システムは、排気を集中制御できるもので、いくつかの排気ファンを別々に取り付けるものよりは、少し高級なものなのでしょうが、1時間に0.5回の換気量(建築基準法の規制)を確保できるにすぎないでしょう。

 これで、「シックハウス対策の強い味方」といいきるのをきくのは、いささか恥ずかしくなってしまいます。
 今新築すれば、どこでもこの程度の物はついているのですから。
 自分のところの物を、他より良く書きたいのは、心情としてわかるのですが、「最低基準」に適合しているだけなのに、それが自慢のシックハウス対策だとすると、何か起こったとき(シックハウスの症状が出てしまったとき)、どんなことをしてくれるのだろうかと、大変心配になってしまいました。

 後のほうで、改正された建築基準法についても触れますが、何か起こったとき、「建築基準法に規定されていることはクリアしていますので、何も補償できません」、ということにならなければいいのですが。
 少なくとも、何か対処法を知っていて、無料で対策をしてもらえるとよいのですが・・・。

 無垢素材や天然素材・自然素材しか使わないとうたっている工務店でも、実際には予算の都合上、そうはいかないことの方が多いという話を聞きます。
 当然、無垢・天然・自然そういった材料は高価です。
 良いに決まっているけれど、使えないのです。
 健康住宅を考えるとき、どうしてもつきまとう問題です。

 私のところに来る相談で多いのが、新築したら、あるいはリフォームしたら、子供や他の家族に、湿疹やアトピーのような症状が出るようになってしまったというものです。
 うちでやらせていただいた工事ではないのですが、新聞広告を見てとか、知り合いからの紹介で何とかならないだろうかという話は良くあるのです。

 相談にみえる方は、はじめから自分の家が原因だということがわかっているわけではありません。
 なぜだかわからないが、
「和室で寝ると体がかゆい。」
とか、
「新築して新しい土地に引っ越してきて、住むところがかわったけれど、まわりの環境(まわりに生育している植物や交通量)のせいで、新しく建てた家のせいではない大丈夫だと思う。」
というように、まさか自分の家のせいでそういった症状が出ているとは考えにくいようです。
 また、症状や状況・原因を説明して、家が原因だということはわかったけど、ローンも残っているし、安全な家になるようリフォームするにも、資金のめどがつかないということもよくあることです。

 こうなってしまってからでは、答えのでない問題かもしれませんが、これを読んでいただいて、何か少しでもお役にたてればよいなと思います。
 ただいえることは、新築・リフォームの時に自分が知識を持っていて、業者任せにしないで、自分でちゃんと対策を立てること。
 あるいは、そういった家にしないノウハウか、少なくとも、任せてもらった家のクレームにはきちんと対応するという、良心をもった業者を見極めることができれば、結果は変わってくるのだということです。

 さて、最近乳幼児や小学生に、小児喘息やアトピーの子がずいぶん増えたようですし、成人でも花粉症の人が激増しています。いまでは日本人の3人に1人が、なんらかのアレルギーを持っているといわれる時代になってしまいました。
 大気汚染や、住環境の変化・食品・ストレスなどが原因となり、アレルギー人口は増加の一途をたどっています。

 花粉症などは戦後の林業政策のために杉が極端に増え、そこへ自動車などからの排気ガスによる大気汚染がからんで、このような花粉症の発症に至ったということがわかっています。
 喘息やアトピーの増加も、大気汚染や自然環境の変化によるものに加え、さらに大きな要因として、住環境(家のつくりかた)の変化があげられます。

 ちょっと待てよ、食べ物のほうが影響が大きいんじゃないかと思われる方もいらっしゃると思います。
 確かに私たちが子供だった頃から、甘味料や防腐剤として、うまみ成分、着色、その他色々な効果を得るために、食品添加物が多く使用されるようになりました。今ではスーパーなどで買ってくる、肉や魚、野菜、果物、そんなものにもはじめから食品添加物が使用されています。確かに知らないうちにそれら添加物は体の中に入っています。

 しかし、食品として消化器官から吸収された、毒性のある物質は、肝臓の働きで、ある程度分解されます。そのまま血液の中に取り込まれ、全身に直接まわるわけではありません。ここでかなり人の体に与える影響は軽減されます。もちろん、分解されないで体に蓄積される物質があったり、大量に摂取したり、長期にわたって摂取したら、当然体にはよくないことですが。

 これに比べると肺から吸収された大気汚染物質は、毒を分解してくれる肝臓を経由しないで、直接血液に取り込まれてしまいます。そして、吸収されるとすぐに、全身を駆けめぐってしまうのです。ですから大量の有害物質が、急激に、全身至る所に影響を与えようとします。

 これら大気汚染物質は屋内と屋外の要因に分けることができます。
 屋外では自動車、工場、ゴミ焼却施設などから排出される化学物質があります。室内では、木材、建材、接着剤、クロス、家具などから排出される化学物質と、ペット、カビ、ダニ、その他害虫や微生物などが原因となるハウスダストがあります。

 今回この小冊子では、屋外の環境は別の機会に譲ります。
 表題の「健康になる家」あるいは「病気にならない家」とはどんな家なのかに的を絞り、どうすればそういう家になるのか、もし何か症状が出てしまったときにはどうすればよいのか書いていこうと思います。

 なるべくわかりやすい言葉を用い、専門用語は使わないように気をつけますが、内容が医学的なこと、化学的なこと、建築のことなどいろんな分野にまたがりますので、皆さんも、よく考えながら、読んでください。
 読み終わったときには、その辺の工務店やハウスメーカーの営業などより、数段上の知識が身に付くことでしょう。

 15分ではきついかもしれませんが、どうか最後までお付き合いください。
 まず、日本の家はどう変わってきたのか、なぜ、変わったのか、そして今の住宅はどんな状況になっているのか、その辺を明らかにしていこうと思います。

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一、日本の住宅の変化

@昔の日本の家
 日本の住宅事情は戦後昭和30年代以降大きな変化を迎えました。

 それ以前の日本の家はご存じのように、夏過ごしやすいことを一番に考えられた、風通しの良いつくりが普通でした。家の大部分は木と紙と竹・泥・わら・イグサなどでできており、窓はすきま風がよくはいる木枠にガラスのはいったつくりでした。素材すべてが、梅雨時には湿気を吸収し、冬の乾燥するときには吸収していた水分を吐きだし、自然に湿度調整がおこなわれて、それなりに快適な生活のできる環境でした。

 しかし、冬の寒さは局所暖房(火鉢やコタツ)で何とか我慢するといったものでしたので、別棟や離れにあった、寒い便所や風呂では老人の事故が多発していました。日本人の死亡原因のトップが脳卒中だった頃です。

 ご存じのように、昔の造りがすべてよかったわけではなく、泥壁と障子、木枠のすきま風のよく通る建具では、当時はまだたいした暖房器具もありませんでしたし、冬の寒さは火鉢やコタツで我慢するしかありませんでした。
 現在でも、昔の家はよかった、泥壁には十分断熱性があるといって、泥壁の部分には断熱材を入れない造り手もいるようです。
 30cm以上の厚みのある泥壁ならそれなりに断熱性も期待できますが、わずか、8cmそこそこの厚さではほとんど期待できるものではありません。昔の家はよかったということを、少し誤解しているような気がしてなりません。

 どちらにしても、昭和初期から、昭和30年代初めまではこんな家が多かったのです。
 イメージとしては、自然素材しか材料には使用していない、風通しがよい間取りを工夫して造られた家で、冬の寒さは局所暖房で我慢していた。特に冬、老人の事故が起こりやすい環境だった。そんな家でした。

A高度成長期以降の住宅
 昭和30年代から40年代の高度成長期、住宅が大量に必要になり、盛んに鉄筋コンクリート造りの集合住宅が建てられるようになりました。
 アルミサッシの採用ですきま風のない造りになったのですが、こうした集合住宅は通気性が悪く、湿気をため込みやすい造りでした。
 畳をコンクリートの上にじかに敷くなどという、恐ろしいこともおこなわれていたようです。

 集合住宅だけでなく、一般の戸建て住宅でも、少し遅れてですが、アルミサッシを使用する家が増えてきました。
 また、同時に泥壁による真壁(柱のみえる造り)の造りから、合板を使った大壁(柱のみえない造り)の造りが多くなり、調湿機能が徐々になくなっていきました。
 こうして、湿気の多い家が建てられるようになっていきました。

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二、カビ・ダニのもたらすもの

@カビとダニの関係
 湿気の多い環境というのを、カビは非常に好みます。ダニも湿気は大好きです。しかもカビはダニの良いエサになります。ですから、通気の悪い湿気の多いところに、カビが発生し、同時にダニも大量に発生するという図式ができあがります。
 今でも、鉄筋コンクリート造りのマンションやアパートのリホームで、壁紙をめくってみたら、下の壁はカビで真っ黒ということはよくあります。

 そんな部屋には、カビの胞子だけでなく、ダニも、ダニの死骸も、ダニの糞も、それらが風化しごく細かい粉状になったもの、さらにもっと細かくなった、肉眼では見ることが困難になったようなものも、ホコリになって大量に存在します。床にたまったものは掃除できますが、空中を舞っているものは、窓を開け風を入れてもなかなか全部は出ていってくれるものではありませんし、すぐにまた発生してしまいます。
 そんな空気を私たちは普段何気なく呼吸しているのです。

Aアレルギーの原因
 意外かもしれませんが、アレルギーの原因の多くはダニやカビに起因します。

 小児気管支喘息の9割、成人気管支喘息の半分はヒョウヒダニというダニが原因となっているそうです。平成16年度学校統計調査によると、喘息を持つ児童・生徒の割合が小学生3.1%、中学生2.4%、高校生1.5%と過去最高を記録していることから考えると、ダニを減らす画期的な手段がなにかとられない限り、これからも増え続けるのではないかと想像できます。  喘息とともに最近問題になっているのが、アトピー性皮膚炎です。詳しい数字は把握できていませんが、幼稚園児や乳児の3割から4割がアトピー性皮膚炎だという調査報告も中にはあります。
 このアトピー性皮膚炎のアレルゲンは、乳幼児では食べ物が多く、加齢していくと、ダニと入れ替わる場合が非常に多いようです。
 ある病院でおこなった、ヒョウヒダニに対する抗体検査で、アレルギー症状を持つほとんどの患者が陽性を示したといいます。

 カビは高温多湿が大好きです。家の中で湿度の高いところ、たとえばお風呂、脱衣場、洗濯場、キッチンまわり、カビの生えていないところはないといってもいいでしょう。しかしカビは多くの種類がいますので、なかには低い湿度や低い温度を好むカビもいます。冷蔵庫の中の臭いはほとんどカビの菌が発する臭いです。
 欧米の国々では週1回冷蔵庫の食料品を整理し、庫内をアルコールで拭いて消毒する習慣があるそうですが、日本でも見習うべきですね。

 餅やパンなどにカビが発生しているのはよく見かける光景です。このカビも空気中に無数の胞子をとばしています。しかもこの胞子は花粉などよりもはるかに小さいので、気管支の奥まで入り込み、喘息やその他アレルギーを引き起こしているものもあります。
 カビによる病気としては、カビの生えた餅を食べたり(カビの部分だけを取って食べても、カビの菌糸は3センチくらいの深さまで達して毒素を出しているものがある)することを続けると、毒素は体内に蓄積され、肝硬変やガンになる可能性があります。

 また喘息やアトピー性皮膚炎もカビによって引き起こされることがあり、喘息の原因アレルゲンの十数%がカビによるものだといわれています。
 治りにくい喘息の中にはカビアレルギーが関係しているものが少なくなく、生きたカビの菌が肺をむしばむのと同時に、カビのアレルギー反応を起こすので、喘息だけにとどまらず、肺炎も併発し、高熱を発することもあります。

Bアレルギー以外の、カビが原因となる症状
 また喘息とは無関係に、カビの菌を吸入することによって起こる過敏性肺炎、特にその中でも、高温多湿の室内に増殖するカビによって起こる、夏型過敏性肺炎は、都市部で住宅が過密状態で建てられていることや、アルミサッシの普及による気密化、ライフスタイルの変化(夏は部屋を閉め切り、クーラーにより涼をとり、冬は室内でストーブや石油ファンヒーターを使うことにより、建物に風通しをよくする工夫を捨て、密閉して冷暖房器具で室内空間の温度を快適に保とうとする)により、室内にカビが繁殖しやすくなったことが原因と考えられています。
 この病気の症状は咳、痰、発熱の症状による呼吸困難を起こし、これを繰り返すうちに炎症を起こした部分が繊維化していき、呼吸不全を引き起こすこともあります。

 鳩の糞でよく増殖するある種のカビでは、過敏性肺炎や肺炎を引き起こすだけでなく、脳や脊髄にまで感染して、脳炎や髄膜炎を起こす場合もあるのです。

 呼吸を通して体内に取り込まれ、血管に付着して、症状がすすむと血管が破れて死亡するカビもありますし、アスペルギルスというカビは気管支や肺に感染症を引き起こすことが多く、それだけでも命に関わる場合が多いのですが、全身に転移することもあり、短時間で病状が悪化するために大変おそれられている病気です。

 カビによる感染症は主に抵抗力の弱い、乳幼児、高齢者、病人がかかりやすいのですが、色々な疾患の原因となったり、複合した症状をあらわします。こうしたことが起こらないよう、少しでもカビの少ない住環境をつくっていきたいものです。

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三、カビ・ダニ以外の、生物・植物による健康被害

 カビ・ダニに関連して、生物や植物の起こす可能性のある、健康被害について触れておきます。

 鉢植えの観葉植物は、室内の演出になくてはならないもののようになってきていますが、室内環境を考える上では、実は大変危険なことです。
 カビはもともと土に生息するもので、鉢植えの土のなかには多くのカビの菌糸や胞子が存在しています。土を室内に持ち込むということは、わざわざカビを室内に持ち込むことと同じことになります。

 また、植物から蒸発する水分は室内の湿度を高めるには十分すぎるほどの量です。
 観葉植物の光合成によって、室内の空気を浄化する効果は少しはあるのでしょうが、室内をジャングルのように植物でいっぱいにしない限り、たいした効果はなさそうです。
 カビや水分を持ち込む危険に比べたら、やはり、やめておいた方が無難だといえます。

 また、最近ではペットを室内で飼う人が増えています。
 色々なペットがいると思いますが、喘息の子供の約20%がネコアレルギーで、7%ほどが犬アレルギーだというデータがあります。

 ネコの場合、その唾液がアレルゲンとなるのですが、ご存じのようにネコは体をなめまわします。唾液は毛に付着したり、フケに付着して風化し、細かい粉状になり、ホコリに混じります。そしてネコは鎖につながれないので、どこにも自由に出入りします。
 ですから、自分の家ではネコを飼っていないのに、隣家のネコのおかげでネコアレルギーが起こる、そんな人もいます。

 トリの仲間は、羽毛や血液・糞などがアレルゲンとなり、鼻炎や喘息を引き起こすことがあります。先ほどの鳩の糞の例のようにカビを媒介することもありますし、過敏性肺炎の原因となることもあります。

 他にも、ハムスターや今まで一般的でなかったような小動物が輸入され、ペットとして売られています。
 今までないもの・どうなるかわからないものを住宅の中にいれるということは、危険をわざわざお金を出して買うようなものだと思えてなりません。
 実はこの辺のところは、化学物質の危険性と非常によく似たところがあるのですが・・・。

 ここまでをまとめますと、カビの胞子やダニ、ダニの死骸、糞、動物の唾液や、毛、フケ、その他小動物から出る様々なもの、そういったものがハウスダストとなります。
 ハウスダストは、静電気を帯び空中に浮遊し、エアコンや石油ファンヒーターの起こす気流がさらに舞上げて、私たちはそれを知らないで呼吸しているのです。

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四、化学物質について

@「合板」のお話
 日本の林業は後継者の不足から、戦後植林された木の手入れをおこなったり、切り出したり、そういったことが困難な状況になりました。せっかく木を切り出しても経費が高くついてしまい、高い木材になってしまいました。高い木材は売れないので、だんだん国産の材木は売れなくなってしまいました。
 海外から、安い材木が入ってきました。
 また、「接着剤」の進歩で、強度的に方向性のない(ムクの板は強い方向・弱い方向があります)、南洋材を使った「合板」が安くつくられるようになりました。
 それらがムクの板に代わって、使われるようになりました。
 「合板」の方が安くて、強くて、狂いがないということで、多く使われるようになると、ムク板を使って床に乾燥収縮によるねじれや狂い、隙間が出たときには、住まい手がクレームをつけることが多くなって、作り手側はそういったクレームのおきない材料のほうを使いたがりました。実は今でもそういったことは多いのですが。

 合板で貼った床は冷たいので、毛足の長いカーペットや絨毯が敷かれるようになりました。ダニが発生しないように「防ダニ剤」や「防虫剤」が使用されました。

A「壁紙」のお話
 壁紙は文字通り「壁紙」とか、「クロス」といわれるように、紙や布でした。紙は木が乾燥するときに縮むのと同じように、糊を付けて貼ったものが乾燥していくときに縮みます。乾いたときに切れたり、つぎ合わせのところで口が開いてしまったり、そんなことが起こります。それが本当は当たり前の姿なのですが、クレームになってしまいます。
 そこで、塩化ビニールのシートで壁紙の代用をやらせようということになりました。糊が乾くときに縮むこともなく、よごれても雑巾で拭けばきれいになります。しかも値段も安くできました。
 布クロスは縮んだりはしないのですが、よごれはしみこんでしまいますし、値段が高くみんなが使えるものではなかったのです。
 塩化ビニールクロスは空気を通さないので、蒸れてカビだらけになってしまいました。それではいけないので、糊には「防カビ剤」を入れたものが使われました。

B「畳」のお話
 畳は湿気によってダニの巣のようになってしまったため、素材に一部でもわらを使った畳は、JIS規格で加熱処理、真空殺虫処理、防虫紙で包むなどの処理のうち、いずれかをしなければならないことになっています。
 恐らく、手頃な値段で手に入れることのできる畳のほとんどは、「殺虫剤」をしみこませた「防虫紙」を使用したものだと思われます。どれくらいの薬剤が使用されているかというと、この「防虫紙」1uに使用されている殺虫剤の使用量と、稲作の1uあたりの農薬使用量と比較すると、水田1uあたりのおよそ20〜30倍の使用量になります。

C「芳香剤」のお話
 住宅の気密化と間取りの変化により、玄関やトイレの臭いが室外に出ていきにくくなり、芳香剤・消臭剤を使用してごまかすことも必要になりました。キンモクセイや柑橘系、ラベンダーなど天然素材をイメージさせる名称がついていますが、すべて化学物質の固まりです。

D「シロアリ防除」のお話
 シロアリを防ぐためにも化学物質は大量に使用されています。
 以前「クロルデン」という物質がシロアリ防除剤として使用されていた時期があります。1986年以前に、金融公庫を利用して建てた住宅では、この物質を土壌散布したり、土台に塗布したりしみこませたりして使用することが、融資条件となっていたからです。
 しかし、「クロルデン」が肝機能障害など、人体に高い毒性を持っていることがわかり、1986年すべての用途での使用が禁止となりました。
 この物質は非常に残留性が強く(この性質のおかげで、ながい間シロアリによく効いた)、いまでもこのころ建てられた家からは「クロルデン」が検出されるということです。

 これ以降、有機リン系殺虫剤である「クロルピリホス」などが使用されるようになりましたが、これは神経系を麻痺させる効果でシロアリの神経を麻痺させて殺すというものでした。
 これがもとで新築の家でめまいがするとか、頭痛がするという訴えが多く見られるようになり、2003年7月の規制で、「クロルピリホス」の使用は禁止されましたが、自発的に使用を自粛していたこともあり、もうあまり使用されている薬剤ではありませんでした。

 現在ではシロアリ防除にはピレスロイド系殺虫剤(除虫菊からとれる物質)が多く使われているようです。
 温血動物では代謝酵素の働きで、体内で速やかに代謝され、排出されてしまうということですが、以前の、「クロルデン」や「クロルピリホス」も、使用されているときは安全だというふれこみでしたので、これからがどうなるのか一抹の不安はあります。

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五、化学物質の利用と環境汚染

 このように今や、住宅を建てるとき、化学物質は至る所に使用されているといってもいいすぎではない状況になっています。

@化学物質の安全性
 化学物質は、1980年までに400万種類もの新しい化学物質が記録されています。アメリカの環境保護庁の調査によると、その中の年間生産量が500トンを超える化学物質(アメリカで約3000種類)の場合で、毒性データがしっかりわかっているものは、わずか7%にしかすぎません。
 むしろ43%の物質については、安全性に関するデータが、全く報告されていないという有様なのです。このように化学物質は、安全性を考えられる間もなく、使用され、廃棄されているのです。

 化学物質についての健康被害を考えるとき、@生産段階で労働者が汚染されるケースと、A生産に用いられた物質の使い捨てにより、土壌や地下水が汚染され、それによって被害が起こるケース、B商品の使用段階で汚染されるケースの3つのパターンがあります。
 また今でこそ廃棄に関してうるさくいわれるようになりましたが、以前は安全性など全く考えられることもなく、埋め立てられたり焼却されたりしてきました。塩化ビニールを焼却するときに発生するダイオキシンのように、焼却や廃棄の段階になって、そのときの化学反応により、より強い毒性を発生させるようなケースもあります。
 こうして考えていくと、すべての段階で、あらゆる可能性を考慮した、人にも、環境にも、完全に安全な化学物質などあり得ないといってしまってよいのかもしれません。

 目先の便利さ・効果・効率を得たいばかりに、見切り発車で化学物質を使用し始め、予想のつかない化学汚染をひき起こしてしまっているという構図が、見て取れます。

 困ったことに、ある化学物質が使われるようになるとき、必ず、「安全です」というふれこみがついてまわることがあります。先ほどの、シロアリ防除剤など典型的です。
 同じように、ハエや蚊・ゴキブリ・ダニなどの害虫を退治するために、色々なタイプの殺虫剤がありますが、どれもTVのCMでは、「安全だ」という決まり文句をつけて宣伝しています。
 しかしそうした殺虫剤が長時間室内にとどまり、カーペットや畳、家具などに付着し、人に悪い影響を全く与えないという保証など、どこにもないのではありませんか?

 化学物質は、カビ・ダニの発生とからんで、また、日本の林業の問題とも密接に関わりながら、木材やフローリング材、その他建材、畳、カーペット、カーテンなどに、「接着」、「防虫」、「防ダニ」、「難燃」、「防炎」、「抗菌」、等々、色々な「加工」・「処理」によって、安く便利な効果を得るために、どんどん使用量、使用範囲を大きなものにしてきました。

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六、「シックハウス対策のための改正建築基準法」

 2003年7月着工分から「シックハウス対策のための改正建築基準法」による規制がおこなわれるようになりましたが、それ以前にはどんな規制が、建築基準法で定められていたかご存じですか?

 答えは、残念ながら、「全く規制されていなかった」ということになります。
 びっくりされるかもしれませんが、事実です。
 それ以前の建物は、「全く規制されていなかった」のです。

@化学物質による健康被害
 それでは、化学物質による健康被害にはどんなものがあるのでしょうか、改正建築基準法でも規制された、多くの接着剤や防カビ剤等に使用されている、ホルムアルデヒドを例にあげてみようと思います。

 ホルムアルデヒドはメチルアルコールを酸化して得られる気体で、ツーンという刺激臭があります。この37%水溶液をホルマリンといいます。防腐効果、防虫効果、防臭効果、接着効果を高める性質があり、多くの接着剤の原料として使われていました。
 普通、空気中のホルムアルデヒドの濃度が、0.02ppm程度の部屋にはいると、臭いを感じ、目が痛くなったり、涙が出たりします。0.5から10ppmになると、鼻やのどに刺激を感じ、さらにのどに痛みを感じたり、吐き気がしたり、下痢を起こすことがあります。こういった症状がホルムアルデヒドによる急性症状です。時にはめまい、倦怠感といった神経系の障害をおこすこともあります。
 さらに高濃度になると、肺炎や、肺水腫をおこし、生死に関わる場合もあるといわれています。
 またアメリカの環境保護局が発表したホルムアルデヒドによる発ガン率に関するデータによると、0.1ppmの部屋に、5年間生活していると、1万人に1人の割合で発ガンするということです。

A厚生労働省の指針値
 規制前の、新築の住宅やマンションでは、空気中のホルムアルデヒド濃度は0.1ppmは楽に超えていますし、0.5ppmを超えていることも少なくありません。
 現在の規制ではどうなのでしょうか。1997年に厚生労働省が、室内空気環境汚染の改善、または健康な空気質の確保を目的として、指針値を定めました。
 それによると、ホルムアルデヒドの濃度指針値は、0.08ppm(WHOの基準と同じ)とされています。
 規制後の条件で測定した値のデータは持っていませんが、建築基準法の規定を守れば(建材制限と換気設備の設置)、ある程度の家具を持ち込んでも達成可能だという試算から決められたそうなので、かなりの改善がなされているといってもよいと思います。
 「最低限」の目標として、厚生労働省の指針値をクリアすることは当然のこととしなければいけません。

B改正建築基準法の内容
 ここで、2003年7月の、国土交通省が実施した、改正建築基準法に基づくシックハウス対策のための規定について説明します。この規制の対象は、住宅・学校・オフィス・病院等すべての建築物の居室です。
 その規制の内容は次のようなものです。
1. ホルムアルデヒド対策として、内装仕上げに使用する建材に、単位面積あたりのホルムアルデヒド放散量に対応して使用面積制限をする。
 なんのことかわからないかもしれませんが、F☆☆☆☆(エフフォースターと読む)の建材なら無制限、F☆☆☆なら床面積の2倍まで等、建材のグレードによって、使える面積に制限があります。
2.  原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置を義務づける。たとえば住宅では換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(24時間換気システム等)の設置が必要である。
3.  天井裏、床下、壁内、収納スペースなどから居室へホルムアルデヒドが流入しないように、天井裏などにホルムアルデヒド放散の大きい建材を使用しない。気密層または、通気止めを設ける。さらに、天井裏などにも換気設備を設ける。
4.  有機リン系のシロアリ駆除剤などに含まれている「クロルピリホス」の使用を禁止する。
 このような法規制がとられましたが、空気の汚染による人体への影響は複雑で、法を守っていれば健康被害は出ないというものではありませんし、今までホルムアルデヒドによって押さえられていた、カビの発生やダニの発生などにより、生物環境の悪化によるハウスダストの増加につながらないか、まだどうなるかわからない点も多いのです。
 しかし少なくとも、規制以前より、室内のホルムアルデヒド濃度は下がっているのは確かなようです。
 ホルムアルデヒド放散建材については、現在ではその放散量により、F+☆の数で等級がつけられています。
 規制前の建材のホルムアルデヒド放散量の最も少ない等級は、規制後のF☆☆☆(エフ・スリースターと読む)にあたります。いまは内装建材はそれより放散量の少ないF☆☆☆☆(エフ・フォースターと読む)が主に使用されています。

C規制で健康被害はなくなるか
 さて、この規制を守っていれば、化学物質による健康被害はなくなるのでしょうか。
 残念ながら、そう簡単にはいかないようです。
 人それぞれ個人差があり、どれだけ化学物質に耐えられるかは、一概にいいきれるものではありません。
 実際私のところに、規制後の基準で家を建てたけれど、以前はなにも症状のなかった女性が、アトピー性皮膚炎のような症状が出るようになってしまったと相談がありました。

D「総身体負荷量」
 「総身体負荷量」というものがあります。聞き慣れない言葉だと思います。なにかものものしい言葉ですが、次のような意味です。
 人間は自分の体の中を一定の状態に保つようにしています。
 ここに外部から様々な刺激が加わります。それは食べ物であったり、ウイルス、カビのような生物であったり、また汚染空気や薬品・食品添加物のような化学物質、さらには光、熱、気圧などの物理的刺激であったりします。
 それらの刺激に対し、免疫・代謝・解毒・排泄などの作用で耐えるようにできています。これらの刺激に対する適応能力のすべての量が、「総身体負荷量」です。

 これはよく、コップに色々な刺激を垂らしていれることにたとえられます。そのコップの容量に余裕のあるうちは症状は出ませんが、免疫・代謝・解毒・排出の能力が追いつかなくなり、コップからあふれ出始めると、アレルギーやその他の症状が発症するのです。

 今までは平気だったのに、今年から花粉症が出た、というようなことはよく耳にしますね。

 最近では化学物質が、この許容量オーバーを引き起こす、一番の原因だということがわかってきました。これがシックハウス症候群や化学物質過敏症です。

E化学物質過敏症
 一度、化学物質過敏症になると、ごく少量の化学物質に対しても、過剰に反応してしまいます。安全基準よりもはるかに少ない量でも、発症するのです。症状も、皮膚炎・めまい・頭痛・肩こり・吹き出物・・・なんでもありです。

 ひどい化学物質過敏症になると、床・壁・天井などに天然無垢の木を使用した自然派住宅などでも発症してしまうこともあります。
 木から出る、芳香成分にも反応してしまうからです。そうなると、使用できる材料としては、金属やガラス、石、ホーローなどに限られてしまいます。

 極端な例だったかもしれませんが、こうした過敏症にかかってしまった人達は実際存在しているのです。程度の差はあれ、5%ほどの人が化学物質過敏症ではないかという調査結果もあるようです。
 ここまで、現在の一般的な住環境について色々書いてきました。住環境が健康被害をもたらす仕組みも簡単に説明できたと思います。

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七、病気にならない家を建てるには

 「病気にならない家」とは、この原因を取り除いた家に他なりません。
 それでは、具体的にどういった家をつくればよいのでしょうか。

@誰に建ててもらうか
 ここで、例えば、壁材にはどういうものを使って、床はこういうものを使うとよいですよ、などというアドバイスをすることは考えていません。
 予算もあるでしょうし、好き嫌いも当然あるからです。
 また、ムクの床板を使ったけれど、なんだか化学薬品の臭いがするような気がする、なんていうこともあり得るのです。
 なぜでしょう。
 本来ムクの板ではあるのですが、乾燥させるときに薬品で燻蒸して防虫処理をしたものなどがあるからです。そういった処理がすべて表示してあるかどうかはわかりません。
 せっかく天然素材・ムク素材を使用したとしても、「とりあえずムク板を使っておけば大丈夫だろう」、などという造り手では、こういったところまで調べて、材料の選定をしてくれるか怪しいものです。

 そこでまず、どういう家を建てるか、何を使って建てるかを考える前に、どんな造り手を選ぶかということが大切なのです。
 実際にその造り手が建てた建物を見ても、恐らく、わからないことでしょう。
 知りたいことは、その造り手が、心から施主のことを考えてくれるか、そしてシックハウスや化学物質過敏症について勉強していて、知識があるかということです。

 「うちでは天然無垢の本物の材料を使った家しか建てません。」あるいは、「こだわりの、○○ソーラーシステムを使った健康住宅を提供します。」といった、わかりやすい文句で宣伝している工務店や、ハウスメーカーならば信用できるのでしょうか。

 信用できるといい切ってもよいかもしれませんし、そうはいい切れないかもしれません。

 なんだそりゃ、と思われますよね。

 それらの工務店の「売り」であるところの、「こだわりの家」を建てるだけの予算を、あなたが確保できるときは、確かに、宣伝文句通りの、すばらしい家ができることと思います。(化学物質過敏症になる可能性は低いでしょう、でも100%安全というわけではありません。先ほども書いたように、完全に安全な材はないのです)
 しかし、坪当たり、60万円から80万円あるいはそれ以上の予算を誰でもが確保できるとは到底考えられません。
 やり方によっては坪当たり50万円台でもできるかもしれませんが、それ以下しか予算がない場合は、あきらめなければならないのでしょうか。

A目標とする家
 こうして考えてくると、工務店やメーカーが「健康住宅」を商品として持っているかということよりも、その業者がいつも情報収集し、考え工夫しているところなのかの方が大切になってきます。

 予算の問題が必ずつきまとうからに他ありません。

 もちろん、ローコストと装備の良さだけを会社の売りにしているような、「建築基準法を遵守した建物を造る」ということを「目標」としている会社では、「最低限」の建物しかできません。
 いつも「最低限」の建物しか考えていない、そんな造り手や設計士もいます。また、値段と装備だけで住宅会社を選んでしまう住まい手もいるから、そういった会社があるのでしょう。

 ほとんどの場合、施主側から、「シックハウスに考慮した家にしてください」という申し出がない限り、どの程度の配慮をするかというと、「建築基準法を守るだけ」という目標になる場合が多いのです。
 しかし、いつも造っている家は普通の家だけれども、普段から住まい手の健康のことを第一に考えていて、できるだけそういったことに配慮した工夫をしたいという、意欲を持っている造り手はいます。

 だけど、どうやったら見分けがつくのでしょうか?

 普段から、住まい手にとって安全・安心・快適・健康な住環境を、絶えず考えている造り手を見極めるにはどうしたらよいのでしょうか。

 どうすれば、健康に配慮した住宅を考えてくれる造り手を見極めることができるのでしょうか?

 ここに魔法の質問があります。

 ここまでこのレポートを読んできたあなたは、もうすでに、並の住宅会社の営業や現場監督よりも、化学物質やハウスダスト、シックハウスや化学物質過敏症、アレルギーについての知識があります。
 自信を持って試してください。

B造り手の見極め方、質問の仕方
 まず、自分がある程度ここに頼もうかという、工務店なり、ハウスメーカーを何社かピックアップしてみてください。
 そこの営業担当か経営者(小さい工務店は営業担当なんていませんから、社長さんか現場監督)に、

「今まで建てた家やリホームした家で、アレルギーが出たり、そのほかなにか健康の被害が出たことはありませんか?。」
と訊いてください。
「ない。」
といわれたら、

「よそがやった工事で、相談を受けたことはありませんか?」
と訊いてください。
 それもないようでしたら、この小冊子の前半部分のことで、なにか質問してみてください。その返事がどうなのか、あなたが判断してください。

 実は、私のところでは、自社でやった工事では何も被害は出たことがありませんが、普段からこんなことを研究したり、こんな物を書いたりしていますので、結構よその工務店から相談があったり、よその工務店がやった工事について情報が入ってくるんです。
 また、アトピーや湿疹、その他アレルギーで困っている人からの相談も、しょっちゅうあります。
 アドバイスしたことで、改善されたり、症状が軽くなったりしたときは嬉しいですね。
 普段からアトピーやアレルギーについて、調べたり勉強しているので、みんなに頼りにしてもらっているんだと自分では思っています。

 次は、
「健康被害が出たことがある。」
という返事の時ですが、その時は、どのような症状で、どのような対策を立て、結果どうなったのかを訊いてください。
 その結果に対しては、内容と、対応の態度をあなた自身が感じてください。
 この会社は、この人は誠実に対処してくれるのか、してくれないのかを。

「被害は出たことはないが、相談を受けたことがある。」
という時は、やはり、その相談に対して、どのような対策を立て、どういったアドバイスをしたのか確かめて、その対応の仕方が、あなたの納得のいくものかどうか、あなた自身で感じてください。
 やはり、いい人でも、良い会社でも、全く知識を持っていないかあるいは、ムクを使えばいいのだろうという程度の知識しか持ち合わせていないところは、やめておくべきだと考えます。

 何かあったとき、何もしてもらえない可能性だけは消しておくべきです。
 責任を持って、対処してくれるところをあなたがかぎ分けるしかありません。

Cローコスト住宅FCや大手メーカーの対応は
 ローコスト住宅を売りにしている工務店や、キッチンの装備や風呂の設備がこの値段でこれが付きます、ということを売りにしているところは、それだけしかないところだと思って良いと思います。
 なぜなら、はじめから、基準法の規定を最高の規定だととらえ、値段の安さで集客することしか考えていないため、この値段でこれがつきますとしか考えていないからです。
 形としてみえない、木材や建材を選ぶ基準が「安いこと、よそよりよく見えること」となってしまっており、住まい手の健康にまでは、世間一般の範囲でしか対応はできないでしょう。
 大手ハウスメーカーの対応も、あまり期待できないと思います。
 もし、大手メーカーがそういうシステムがあるのなら、もっと宣伝しているはずです。
 また、「はじめに」で書いたように、法に従っただけの当たり前の装備を、さも自分のところだけの、特別な装備であるかのように宣伝しているところも見かけます。
 くれぐれも注意してください。 このレポートがその時の参考になるはずです。

 以上が造り手の選び方です。

 一つ付け加えておくことがあります。
 最近木炭が注目を浴びています。
 木炭塗料を壁や構造材に塗って、シロアリ対策や化学物質対策としたり、床下に木炭や竹炭を敷き詰めて、調湿させたり、有害物質を吸収させるというものです。
 設置した初めのうちはそれなりに効果はあると思います。しかし、木炭や竹炭には有害物質を吸着する効果はあっても、分解する効果は残念ながらありません。
 冷蔵庫の臭い取りのの活性炭を思い出してもらえばわかると思いますが、効果には限りがあります。
 有害物質や臭いの元を吸収して、ため込んで終わりです。
 木炭や竹炭を利用した製品には、それなりの吸着効果はあると思いますが、あまり期待をしないほうがよいと思われます。

 考えていないところはホント全く考えていないし、全く知らないのです。
 これを参考にして、見極めてくださいね。

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八、もしものときの対処法

 これから建てるかたはこれまで書いてきたことを参考にして、信頼できる業者を選んでくださいね。

 このレポートの読者の中にはすでに家を建ててしまい、家族に健康上の被害が出てしまったかたもいらっしゃるかもしれません。その方のために、そうなってしまったときの対処法を、最後に提示しておきます。
 自然素材でリフォームするなどという答えを、読者の皆さんは期待しておられるわけではないと思いますので、リフォームの時どんな素材を使うと良いとかそういった対処法は、割愛いたします。

 新築したら、身体に異常が出てしまった。大変です。
 どうしたらよいのでしょうか?

 ここまで生物や化学物質が原因となる、いろいろな健康に対する被害を書いてきました。原因ごとに対処法を示していくことにします。

ダニ
 ダニの大好きな環境は、温度25℃・湿度75%の条件です。この条件を満たさないことと、塵がたまる生活を極力避けることにつきます。
 こまめな掃除・乾燥・通風が大切です。

カビ
 カビは一般に暗くてじめじめした場所で繁殖し、25℃前後の気温を好みます。このような条件でしかも、ホコリの多い場所で繁殖します。
 そして、明るくなって温度が上がり、湿度が下がってくると、胞子をとばしてさらに活動範囲を広げます。
 対策としては、通風を良くすること、結露の起こる部分の断熱化(サッシをペアガラスにするなど)などがあります。

ペット
 ペットによるアレルギーは、ペットの飼育をやめることにつきます。
 またペットだけでなく、観葉植物なども、室外に出した方が賢明だといえます。
 ペットを手放した後は、徹底的に掃除をしてください。何度も何度も繰り返しする必要があります。
 どうしても、飼育をやめられない場合は、外で飼うこと、しょっちゅうペットを洗うこと、室内の掃除を絶えず行うことが必要になってきます。

以上がハウスダストに対する対処法ですが、全体としてみると、こまめな掃除等しか手だてがないのが現実です。

化学物質
 建物以外で化学物質を出すもの、例えば家具やワックスをチェックしてみましょう。
 業者からの引き渡し前のクリーニングに使われた洗剤も、業務用に物なので、化学物質の含まれた物かもしれません。
 キッチンや作りつけの収納も扉を開け放ち、通風や換気をしましょう。

 室内でいくつかのストーブをたいて、温度を40℃以上にし、揮発性有機化合物の放散を促し、ホルムアルデヒドや他の化学物質を積極的に追い出す、「ベークアウト」という方法もあります。
 しかしこの方法は、建材の表面から放出される化学物質には有効ですが、建材内部に含まれていて、徐々に室内に出てくるような建材にはあまり有効とはいえません。

 そのほか、ホルムアルデヒドを吸着するシートなどが最近出てきたようですが、ホルムアルデヒドが出てしまうまで、何度も交換し続けなければいけません。
 
 ハウスダスト対策として、空気清浄機なども考えられる対策の一つですが、家中の空気を浄化するためにはどれほどの時間が必要なのか、一部屋だけでも良いですが、室内全部のハウスダストを浄化できるのか、どうやって部屋中の空気を循環させ、空気清浄機まで導くのか、その時に起こる気流でさらにハウスダストが舞い上がってしまうことはないのかなど疑問が残ります。

 このように、完成してしまってからでは、これといって有効な対処法がないのが現実です。
 特に平成15年7月以前に着工された住宅は、規制のない建材を使っているので、今でもホルムアルデヒドや他の揮発性有機化合物が、放散し続けているところもあります。
 作りつけのクローゼットや収納部は締め切られたままなので、依然多くのホルムアルデヒドが放散しないまま、こもっていると思われます。
 こまめに扉を開け、換気をするように気をつけてください。

 それ以降に建てたかたも、何が引き金となり、シックハウス症候群や、化学物質過敏症が発症するかわかりません。

 医者にいっても特にどうっていうことはないけど、なんだかおかしいな、体調が思わしくないなというかた、アトピーや喘息の症状が出たかた、家が原因かもしれません。
 普通の医者では、家が原因となるシックハウスや、化学物質過敏症はそれほど経験がなく、他の病気の症状に間違われることが多いそうです。
 医者にいっているけど、症状が変わらないな。薬を塗っているうちは症状が引くけど、やめるとまたすぐ出てしまう。そんなときには、室内の大気汚染の測定をし、対策を立てなくては、薬などではなおりません。
 アレルギーの専門医なら、住環境と症状の関係を考慮してくれると思われます。

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九、これから建てるならこんな家

 それでは、新築する場合、どんな家を建てればいいのでしょうか?
 
 このレポートを書くに当たり、これにふれるべきかやめるべきか、悩みました。
 本屋に行けば、健康住宅やエコハウスのつくりかたは多く見つけることができます。

 シックハウスや、化学物質過敏症、アレルギーについての本は、医師が書いた本、化学の専門家が書いた本、建築の専門家が書いた本、健康の被害にあった体験者が書いた本など、それぞれ違った立場から見た物がありましたが、それらを総合的にまとめた本がなかったので、私もわかりやすくまとめたいとの考えからこのレポートをまとめました。

 こんな家にしようというときには、必ず予算の問題がからんでしまいますし、夢の家についてはすでにたくさんの本が出版されています。

 私の役目はここまでかな、そんな感が強くあります。
 ここまでこのレポートをお読みになった皆さんは、もう本当に十分すぎるほどの知識があるといっても過言ではありません。
 自分の予算内で、親身になって提案し考えてくれる業者を見つけてください。
 きっとできます。

 ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。 

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主な参考文献

「シックハウス症候群の驚異」 井上雅雄著 日刊工業新聞社
「シックハウス症候群」 鳥井新平著 徳間書店
「住まいと病気」 日本薬学会 編 安藤正典著 丸善
「シックハウス対策のバイブル」 日本建築学会編 彰国社
「シックハウスがわかる」(社)大阪府建築士会(社)大阪建築士事務所協会(社)日本建築家協会近畿支部 学芸出版社
「くらしの中の化学物質」 化学物質リスク研究会編 かもがわ出版
「プロも知らない『新築』のコワサ教えます」 船瀬俊介著 築地書館
「あなたの子供はなぜキレる 環境ドラッグ」 船瀬俊介著 築地書館
「自然住宅(エコハウス)の正しい作り方」野池政宏著 エクスナレッジ
「自然住宅(エコハウス)便利帳」 野池政宏著 エクスナレッジ
「化学物質過敏症家族の記録」 小峰奈智子著 農文協

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著者プロフィール

宮崎 誠一 (みやざき せいいち)
昭和37年(1962年)7月31日生まれ 四児の父
有限会社 岐阜建築職人会 代表取締役

○建設業の許可 (般−16)第101355号
○一級建築士
○1級エクステリアプランナー
○1級鉄骨製作管理技術者
○非破壊検査技術者 超音波T種
○人と環境に優しいシロアリ防除を目指す会会員
○剣道錬士六段

岐阜市出身。
信州大学経済学部卒。
大学卒業後、家業の鉄工所で鉄骨職人、主に工場内加工、現場組み立て。
その後、原寸(寸法出しやプレート取りをします)及び施工管理。
三〇歳で二級建築士取得。
原寸工の他に、新築住宅・店舗・倉庫等及びリフォームの現場監督。
設計事務所の下請けで、鉄骨構造図請け負う。
三十六歳で一級建築士取得(指定学科を出ていないので、実務経験で受験しました。はっきり言って遅いです。)
下請けで一生懸命良い仕事をしても、お客様に直接喜んでもらえるわけではなく、宮進鉄工(有)内で注文建築及びリフォーム部門を立ち上げる。
(有)岐阜建築職人会を、新築・リフォーム部門の別会社として設立。

事務所
〒502−0911
岐阜県岐阜市北島8丁目3−23
(有)岐阜建築職人会
イオリ住まいる建築工房 (住宅事業部)
Tel 058-294-7733 Fax 058-294-7793 携帯 080-5100-3177

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この道場で二十五歳の頃から、幼稚園より一般までの剣道教室をしています。練習生随時募集中です。

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